吉野川とは
吉野川は日本三大暴れ川の一つで四国三郎と呼ばれています。愛媛・高知・徳島の水を集め太平洋に流れる四国最大の河川。香川用水も含め四国全県に水を供給しています。
吉野川について
概要

吉野川は全長194km(全国12位)、流域面積3750㎢(全国17位)の河川ですが、洪水時の流量を示す基本高水ピーク流量は日本一を誇ります。また、河口部の川幅は約1300mと日本で2番目に広く、雄大な景色が広がります。流域内の人口は約64万人ですが、近代以降、香川県への分水が進み、池田ダムから香川用水として利用されています。その利水人口は約250万人に及び、古くから水不足に悩まされてきた香川県の課題解決に大きく貢献しています。流域面積は四国全体の約20%に過ぎませんが、四国4県にわたる約60%の人々を潤しており、豊富な水はまさに四国の命綱と言えるでしょう。
暴れ川

吉野川は、関東の利根川(坂東太郎)、九州の筑後川(筑紫次郎)とともに「日本三大暴れ川」の一つに数えられ、古くから洪水と氾濫を繰り返してきたことで知られています。特に台風時には度々洪水が発生し、流域周辺では稲作が困難な土地でした。しかし、その氾濫によって運ばれる肥沃な土壌を利用し、吉野川流域では古くから藍の生産が盛んに行われてきました。台風前に収穫できる藍は、殺菌・防虫効果が高く、江戸時代には農民の普段着などに用いられました。現在でも、吉野川流域では藍染体験を楽しむことができます。
源流

吉野川の源流は、高知県吾川郡の瓶ヶ森に位置しています。登山道が整備されており、登山口から約2時間で源流点にアクセス可能です。源流点にはステンレス製のモニュメントが設置され、観光名所となっています。
吉野川の支流や用水について
穴内川

「川の流れのように」をはじめ、多くの人に愛される歌を世に残した歌手の美空ひばりさん。そんな歌謡界のレジェンドと高知県山間部のある町との逸話が残されています。高知県大豊町で療養していた若き日の美空ひばりさんは、杉の大杉と呼ばれるスギの木に願いをかけたそうです。なんでも、そのスギの木は樹齢が3000年と推定されるほどで、太古の昔に須佐之男命(スサノオノミコト)が植えるのを手伝ったとかないとか。そんなパワーあふれる地域を流れて吉野川に注ぐのが、ここで紹介する穴内川(あなないがわ)です。吉野川の流路延長は非常に長く、多数の支流を集めています。穴内川もその一つであり、水源は高知県土佐町と南国市の境に位置する笹ヶ峰で、吉野川のかなり上流部で合流します。黒潮にのって運ばれた水蒸気が、四国山脈にぶつかり雨が大地に降り注ぐ地域がちょうど源流地にあたります。そんなわけで、穴内川の源流部はその昔、天坪(雨壺)とよばれていたそうです。天からの恵みを山間部でさらに浄化して吉野川本流に注いでいます。その透明感、実際に大豊町を訪れて、是非その目で確かめてみてください!
祖谷川

この漢字、何の手がかりもなしに読めますか?祖谷川(いやがわ)といいます。最初から読める人は少ないのではないでしょうか。さて、そんな祖谷の話です。祖谷そばや祖谷のかずら橋が有名ですね。吉野川の名所、大歩危小歩危峡よりさらに山奥。百名山にも数えられる四国の名峰剣山を水源とする祖谷川をのぞく祖谷渓。岐阜県の白川郷と宮崎県の椎葉村に並び、日本三大秘境として知られています。流路延長は53.8km、流域面積は370km²に及び、吉野川水系の支流の中でも一際存在感を放っています。そんな清流の谷あいでつくられる、祖谷の名産品が祖谷そばです。つなぎをほとんど使わない製法から、切れやすいのが特徴のひとつ。正月や法事など節目に振る舞われるこのそばは、”切れやすい”ゆえに婚礼の際には食べられないのだとか。ラフティングではしゃいだ後は、祖谷渓でのんびりお蕎麦をひとすすり。いかがでしょうか?秋が深まる時期には、渓谷の紅葉が見頃となり、谷の両側が色づく様は、まさに絶景です!気になった方は、要チェックですよ!
穴吹川

ここまで、吉野川本流と二つの支流、穴内川と祖谷川の紹介をしてきました。続きましては、こちらも吉野川の支流、穴吹川です。この川の一番の特徴は、なんといってもその透明度です。穴吹川の流れる美馬市の専用サイトでは、日本一の清流と謳っています。一般的に、私たちが川のきれいさに言及するとき、透明度だったり、周りの景観などの見た目から判断することがほとんどだと思います。実は、川のきれいさは、とある指標を使用することで客観的に評価することができるのです。その名もBOD。これは、Biochemical Oxvgen Demandの略で、日本語で正式名称は生物化学的酸素要求量です。文字だけ見ると、なんのこっちゃ?と思いますよね。簡単にいうと、BODは水中でどれだけ酸素が減ったかを調べる指標なんです。酸素の減る量が多いことは、微生物が川の汚れを分解するために使っていることを証明しています。こういった因果関係から、BODの低い川、すなわち酸素の減り幅が小さい川が綺麗だと客観的に判断できます。ご紹介の穴吹川は、BODの数値が全国一位タイで低い、日本屈指の清流といえます。川沿いにバーベキューやキャンプができる施設があったり、8月には筏下りの祭りが開かれたりなど、夏の水遊びにぴったりの川です。
香川用水

四国の俚諺(民衆由来のことわざ)に、「讃岐男に阿波女」というものがあります。夫婦円満の代名詞であり、讃岐の男性の田植えを阿波の女性が手伝い、逆に阿波の藍作を讃岐から手伝いに来る、お互いを支えあえる仲のことだそう。古来から徳島と香川の間には特別な絆があるのですね。実はそこに吉野川も大きく関わっているんです。稲作が盛んな讃岐の国は、古来より慢性的な水不足に苦しんできました。瀬戸内海の雨の少ない気候に加え、讃岐山地は急傾斜で素早く降雨を海に流してしまいます。そのため、ため池を作り水を分け合って生きてきた讃岐の人々。そんな彼らに阿波から救いの手が差し伸べられます。それこそが「香川用水」。吉野川の用水計画の15%ほどを池田ダムから分水して香川県に流しています。水は非常に価値のある資源であるため、当初は反対の立場をとっていた徳島県ですが、議論を重ねて分水することが決まりました。香川分水の功績もあり、香川県のため池への依存度は7割から5割まで減りました。こういった背景があり、吉野川は夏の水量が多く、ラフティングに最適な環境になっているんです。
愛媛分水・高知分水

吉野川は四国を横断する大河で、ラフティングのメッカとして知られる激流スポットです。でも実は、吉野川の水はラフティングだけでなく、四国各地の暮らしにも深く関わっています。その一例が「高知分水」と「愛媛分水」。これは、吉野川の水をトンネルや導水路を使って、それぞれ高知県や愛媛県に送る仕組みのこと。水不足になりがちな地域にとって、この水は生活や農業に欠かせない大切な資源なんです。一方で、このような分水やダムの管理は、吉野川の水量や流れにも影響を与えます。つまり、ラフティングを楽しむための「ちょうどいい水量」は、こうした分水計画とも密接につながっているというわけ。自然の力と人の知恵がうまくバランスを取っているからこそ、吉野川ではスリル満点のラフティングが楽しめるんですね。遊びながら、そんな水の裏側にも少し目を向けてみると、吉野川の魅力がもっと深く感じられるはずです。
早明浦ダム

吉野川でのラフティングを語るうえで、欠かせない存在が「早明浦(さめうら)ダム」です。吉野川の上流にあるこのダムは、「四国の水がめ」と呼ばれるほど大切な役割を担っていて、香川・愛媛・高知の生活用水や農業用水、工業用水など、たくさんの地域の暮らしを支えています。そして、このダムがあるからこそ、吉野川の水量が調整され、ラフティングに適した流れが生まれる日もあるんです。特に夏の渇水期などには、放流があるかどうかでラフティングのコンディションが大きく変わります。水が多い日はスリル満点、少ない日は穏やかで初心者も楽しみやすいコースになります。つまり、早明浦ダムは吉野川の「水のリズム」をコントロールしている存在。私たちが安全に、そしてワクワクしながらラフティングを楽しめるのは、このダムの働きがあってこそ。遊びながら、そんな水の流れの背景にも少し思いを巡らせてみてください。
吉野川の自然・歴史・文化
自然

四国に降る雨の約2割を集め、流れること194km。水源である瓶ヶ森から徳島市内の河口に至るまで景色は変わり、植生や生態系の豊かさを見ることができます。そんな豊かな吉野川ならではの自然、小歩危・大歩危峡を紹介します!
豊富な水量と流れのはやい吉野川は、長い時間をかけてV字の渓谷を作り上げました。そのなかでも大歩危峡・小歩危峡は景勝地としても名高く、毎年多くの観光客がやってきます。それぞれの名前の由来ですが、その昔の吉野川の渓谷付近の山道は険しく、大歩危は大股で歩くと危ない、小歩危は小股で歩いても危ない、という吉野川のつくった地形からきているとか。他にも、土砂崩れを意味する古語、ホキ・ホケに由来するという説もあるそうです。いずれにしても、昔の人は大歩危小歩危付近の通行に苦労していたことが由来のようです。そんな大歩危小歩危の見どころはなんといっても、川沿いに見られるむき出しの岩肌。限られた地域でしか形成されない特別な岩なんです。吉野川の透明で深い碧緑が岩の白に映えて、この世のものとは思えない神秘さを醸し出しています。激流が最高な吉野川ラフティングですが、ゆったり下る時間は岸にそびえ立つ岩にも要注目です!
歴史

日本三大暴れ川の一柱、四国三郎吉野川。大河は時に恵みをもたらし、災いももたらします。吉野川は昔から何度も氾濫を繰り返し、農地に栄養を注ぎながら多くの命を奪ってきた歴史をもちます。古代の記録はほとんど残っていませんが、中世になると封建領主などが治水にあたった記録などが残されはじめます。堤が築かれ始めますが、土木技術の発達度合いが当時はまだ低く、財源も少なかったために堤防の出来は不十分だったそうです。本格的な治水工事は近代になってから着手されました。その後専門家の提言もあり、明治19年度に工期11年にも及ぶ大工事が始まります。しかしその二年後に吉野川は大洪水を起こし、ほとんどできかけていた堤防は決壊、多くの人命が失われました。結果として、地元住民の反対と、徳島県議会の工事廃止の決議案可決も相まって、吉野川の治水の流れは止まってしまいます。その後も洪水を繰り返した吉野川ですが、治水の重要性が再認識され再び工事に着手することになりました。先人たちの功に加え、今も多くの方の尽力あって吉野川の治水は行われています。それでも、雄大な自然は時に厳しい一面を見せ、我々に大きな災いをもたらすかもしれません。川に生きる私たちラフティングガイドは、天候条件や水位に常に気を配り、安全なツアーを催行するとともに、川のありがたい面だけでなく、あらゆる面を発信していきたいと考えています。
文化

吉野川中流域に藍住町という町があります。実は、吉野川は徳島県下の藍作と深い関係があるんです。藍染の衣服は、蚊が嫌う薬用効果が注目され、戦国時代には武士に重宝されたと言われています。また、錦製品が普及するに伴い、付加価値を高めるための藍染めが盛んに行われたそうです。このように市場で人気を高めた藍の一大産地、それが吉野川流域の農村部だったのです。米を作ろうにも、稲の開花時期が台風の接近しやすい時とかぶったり、灌漑しようにも度々に渡る吉野川の氾濫で稲作は厳しいとされてきたそう。そこで目をつけたのが藍でした。蓼藍は一年草で連作ができないと思いきや、吉野川の洪水で新しい土が運ばれてくることで連作が可能になったとか。暴れ川四国三郎吉野川だからこその産業なんですね。明治中期になるとドイツ製の合成藍が市場を占め始め、吉野川流域の藍作は斜陽産業と化し、今では生産量は激減しています。しかし、今でも藍を育てる農家さんは存在し、阿波藍として親しまれています。
岸本君オリジナルの吉野川項目
瓶ヶ森

吉野川の源流であり、石鎚山と笹ヶ峰と合わせて伊予の三名山と呼ばれています。山頂付近の見晴らしは抜群で、天ヵ気が良い日は瀬戸内海のみならず太平洋を臨むことも可能です。瓶ヶ森登山口までのUFOラインは車のCMでも使われている、景色最高のドライブコースです。登山ルートも行程の短い簡単なルートから鎖場もある難易度の高いコースもあり、初心者から上級者まで楽しめる山です。
剣山

四国で二番目の標高を誇る剣山は、吉野川の源流域に位置する霊峰です。その豊かな自然が吉野川に清らかな水をもたらしています。そんな剣山の魅力は、手軽に壮大な眺望を拝むことができることです。登山道はかなり整備されていて、さらに頂上付近までロープウェイで行くことも可能です。また、剣山系は四国の屋根となぞらえられていて、高山植物や紅葉など四季折々の自然が楽しめます。足に自信のある方は、少し山頂から下ったとこにある、剣山御神水(おしきみず)を是非訪れてみてください。古くから若返りの水として知られており、持って帰る方も多いそうです。剣山を訪れることで、吉野川の自然の源と、その雄大なサイクルを肌で感じることができます。
お遍路と吉野川

四国を代表する清流、吉野川は、ラフティングのメッカとして知られる一方で、古くから四国遍路の道と深く関わってきました。弘法大師空海が開いたとされる八十八ヶ所の霊場巡り「お遍路」。吉野川流域には、第三番札所・金泉寺や第四番札所・大日寺など、初期の札所が点在しており、お遍路さんたちはこの清流のほとりを歩き、修行を重ねてきました。
吉野川のせせらぎは、お遍路さんの道中の疲れを癒し、心の平安をもたらしてきたことでしょう。そして現代、吉野川は私たちに、水の持つ力強さと穏やかさ、そして自然との一体感を教えてくれます。激流を下るスリルと、時に現れる静かな淵で水と戯れる時間は、まさに心身を解放する極上の体験です。
お遍路さんが古くから歩んできたこの地で、吉野川のラフティングを通して、心身のリフレッシュをしませんか?歴史と自然が織りなすこの特別な場所で、吉野川の持つエネルギーを全身で感じてください。きっと、お遍路さんが感じたであろう清らかな空気と、雄大な自然の恵みに触れることができるはずです。ラフティングの合間には、お遍路の歴史に思いを馳せ、吉野川の持つ奥深さを感じてみてください。
吉野川のせせらぎは、お遍路さんの道中の疲れを癒し、心の平安をもたらしてきたことでしょう。そして現代、吉野川は私たちに、水の持つ力強さと穏やかさ、そして自然との一体感を教えてくれます。激流を下るスリルと、時に現れる静かな淵で水と戯れる時間は、まさに心身を解放する極上の体験です。
お遍路さんが古くから歩んできたこの地で、吉野川のラフティングを通して、心身のリフレッシュをしませんか?歴史と自然が織りなすこの特別な場所で、吉野川の持つエネルギーを全身で感じてください。きっと、お遍路さんが感じたであろう清らかな空気と、雄大な自然の恵みに触れることができるはずです。ラフティングの合間には、お遍路の歴史に思いを馳せ、吉野川の持つ奥深さを感じてみてください。